2011年6月12日日曜日


想定外ではなかった!  4年前に公表されていた東日本大地震予測図の再評価(2011年6月12日)

 

































 内外の研究者から、2011年に発生した東日本大地震の予測についてのコメントや質問が私の元に寄せられています。それは、私達が、今から4年前(2007年)の第21回太平洋学術会議において、上に示した予測図を公表していたためです。


 上図は、2007年6月13-18日の第21回太平洋学術会議で発表した共同研究の成果の一つです。発表より3日前の、このホームページの2007年6月10日の私のブログには、「都市を水没させるような地震はこれからも起こる」と題して、その講演の予告が掲載されています。

 ところが本年2011 年に、まさに東北方面がそのような地震・津波に襲われました。これは偶然の一致と済ませて良いのでしょうか。なぜなら、上図の東北日本の太平洋沖には、M8前後の巨大地震発生が予測されているからです。

 その予測による大地震発生時期は2005±5年で、実際の2011年に近く、予想マグニチュード(M)は8±で、実際のマグニチュードは9でした。

 なお、太平洋学術会議で公表した地図(上図)で示した地震の目の大きさ(長径)は、480kmほどとなります。それを断層の長さとみなし、松田の計算式により再計算すると、マグニチュード(M)は9.3となります。これでは日本列島付近で発生したことのない大きさの地震になってしまいます。そこで、それは誤差に委ね、図ではM8±という表現にとどめたわけです。

 したがって今回の2011年3月11日に発生した”東日本大地震”は、偶然にしても、4年前に予測・公表された東北沖の巨大地震そのものとしか言いようがありません。 いずれにしても、ほぼ予測に近い時期と場所に、予測に近い巨大地震が発生したことになります。

 この研究は、以下のように共同研究で、発表は私が2007年6月に行いました。

研究者:Masaaki Kimura, Masahide Furukawa and Susumu Ogawa(発表者:木村)

講演タイトル:Submarine ruins as an indicator of active crustal movements along the Ryukyu Island Arc, western margin of the Pacific Plate(太平洋プレート西縁で行われている地殻変動を示す琉球列島の海底遺跡)。

講演要旨は、  “21st  Pacific Science Congress, Abstracts.  p.356” (第21回太平洋学術会議講演要旨集、356ページ)にあります。

 なお、太平洋学術会議での発表論文の結論部を下に英文で示します。日本語では、「今回のアリューシャン列島沖の津波で特徴付けられるような大規模な津波の発生は、太平洋プレート西縁における新たなサイクルの地殻変動の兆候ではないかと思われる」との予測です。ここで言うアリューシャン列島沖の津波とは、2006年と2007年にクリル付近で発生したMw8.3と8.1の地震によるものを指します。


 さて、結果的には太平洋学術会議での指摘通り、東北日本の太平洋沖で、2011年にM9という日本最大とされる巨大地震が発生してしまいました。

 では、上記学術会議での予測はどのようになされたのでしょうか。それは、1)火山活動と地震活動との時空関係および2)すでに私の著書やホームページ等で紹介している”地震の目”などを中心とした方法によりました。

 地震の目による方法は、本年3月15日のブログで示した方法です。 その時、大地震の名は”東北関東大地震”と仮称されていました。そのブログでは、 2010年までの気象庁 (JMA)が公表した震源データを使用しましたが、太平洋学術会議の時は同じJMAのデータですが、2007年までのものによりました。


 以下、太平洋学術会議の要旨の一部(原文)

  1. 1.M.Kimura, M. Furukawa and S. Ogawa

Correspondence: kimura@sci.u-ryukyu.ac.jp

Submarine ruins as an indicator of active crustal movements along the Ryukyu Island Arc, western margin of the Pacific Plate.

Abstracts, 21st Pacific Science Congress, p.356


Concluding remarks:

-   I wonder if  recent large-scale tsunamis, characterized by the one off the Kuril Islands, may be one of the signs of the new cycle of the crustal movement along the western Pacific margin.



             (2012年4月12日現在 35,017人アクセス)