2007年11月23日
八丈島付近の通常地震活動について

最近の八丈島付近の地震活動は、火山活動を示すパターンに酷似しています。これについて考察してみたいと思います。

 

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図1は、富士山噴火と南海トラフのいわゆる海溝型巨大地震との関係を示したものです。噴火資料は理科年表からとりました。 ここでは、?付きの噴火は省かせていただきました。

 

富士山の噴火記録は古くからありますが、信頼性のあるものもないものもあります(例えば小山、2007)。

 

そこで、私は巨大地震との関係でみてみます。そうすると、富士山噴火活動期と非活動期とを 図1のように、大くくりにすることもできます。これはあくまでも人為的な分け方ですが、活動期に入るときは東海地震がなく、休止期に入るときは東海地震が 起こっている可能性がある等の規則性が見てとれます。過去の例では、東南海ー南海型巨大地震から74-97年後、平均86年後に富士山の噴火活動が始まっ ている。

これによると、1944年東南海地震以後60年以上過ぎているので、過去に習うと、もう10年後ころからそろそろ富士山が目をさましてもおかしくない時期に来ているかもしれません。

 

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図2は、富士山が活動している時期に噴火した火山を示しています。なぜ同時期に噴火するかは不明な部分が多いのですが、今は時期のみに注目すると、八丈島もその仲間に含まれます。これで見ると富士山や八丈島がそろそろ活動期に入ってもおかしくないと言うことになります。

 

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図3は、三宅島から手石海丘までの火山付近の通常地震の回数を示したものです。データは、JMA,解析はSeisView for UNIX/X Window (Koketsu and Yoshii)によります。以下同様です。データは1970年以降のものですが、火山の主要噴火時を中心として、前段階に現れる地震回数のピークをP1, 主噴火時のそれをP2とします。これによると、三宅島1983年からはじまったそれ以北の火山のP2活動はほぼ3年遅れで北上し、富士山では1996年に認められるピークがP2と思われます。

と言うことは、富士山付近の地震活動はマグマの挙動を伝えている可能性があります。先に挙げた噴火の長周期的規則性と他火山との関係、そしてP2との関係 などから、次のP2かその次頃の経過に注意する必要がありそうです。もし富士山の火山性地震発生頻度が周辺他火山の噴火前のそれに近づいたならば、富士山 噴火活動の近いことを示唆するものと捉えるべきと思われます。

 

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次の図4は、八丈島から富士山までの火山の通常地震活動を示したものです。この上の 図は1975年から1982年までのもので、いずれの主火山噴火も行われていない時期のものです。いずれも火山から半径50km以内に地震活動の集中部が 認められ、特に、三宅島や大島、手石海丘付近のその集中度は異常なくらいである。

 

下のものは、赤三角はその後主噴火が行われた火山である。上の図(1)で地震活動が顕著であった所が、1983年に三宅島、1986年に大島、1989年に手石海丘噴火とすべてP2時の噴火活動をしました。

 

図4の2)に示した白三角は未噴火の火山です。ここで八丈島を見ると、地震活動が集中していて、図の1)の三宅島噴火前の状況に良く似ています。

また、図5がもし真性のP1であれば、噴火時期は容易に計算できます。

 

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一方、富士山については、まだ異常活動と思える状態ではありませんが、通常地震活動のパターンはマグマの活動を反映しているようにみえるので、今後の監視が必要と思えます。(完)

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