2008年6月17日
岩手・宮城内陸地震の前後の地震・火山活動

地震前には、栗駒山火山に地震が群発した。これをこの火山の主活動期ととらえると、他地震の起こり方も見えてくるように思われます。

 

昨日は、岩手県側の空白域のチェックを行いましたが、今日は宮城県側のチェックを行ってみたいと思います。なぜなら、大地震でひずみが解放されると、その周辺に応力が集中してやがては大きな地震をおこすひずみをためる可能性があるからです。

 

以下、図にしたがって地震チェックを行ってみたいと思います。よりくわしくは、拙著(木村、2006)を見て貰えるとありがたく思います。

shapeimage_2  図1は、例によって第一種空白域のチェックからはじめます。ここ48年間M≧6.5の大地震が起きていないところが認められます。北のものは、岩手・宮城内陸地震のそれです。

 

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図2には、南側の円内により小規模の地震活動が認められます。ここがアイか?

 

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図3は、両方の円内に地震活動が認められます。北側を岩手空白域、南側を宮城空白域と仮称します。

 

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図4の段階になると、ドーナツ(サイスミック・リング)もはっきりしてサイスミック・アイが二つ認められるようです。

 

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図5は、M3まで含めて見ています。北の円内に、このあと発生した2008年岩手・宮城内陸地震の震央を入れてみました。やはり円内の地震活動集中域はアイでした。すると、南側の円内の地震活動の集中するところもアイでしょうか。図4でさらに良く観てみましょう。

 

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図6は、南側のアイと思われるところを拡大してみたところです。地震の分布は南北にのびているように見えます。これは、図7を見るとはっきりとします。

 

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図7は、マグニチュード5以上の地震をひろいだしてプロットしたものです。きれいに南北に線状に並んでいることがわかります。これは四川大地震をはじめ、今回の岩手アイにもみられた共通のパターンです。

 

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図8は、その時系列を見たものです。2003年に突然活動が活発になったばかりのようにみえます。もしこれがアイの立ち上がりだとすると、この年より30年ほどたつと大地震の発生がある可能性がうかがえます。ただしそれまでは時間が十分にあるので、さしあたっては、e1かどうかの検証が先決と思われます。

 

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図10 は、1985-86年の地震群発を栗駒山のP2火山活動として、周辺の大地震との関係を見たものです。P2の活動後、大地震が栗駒山から遠いところから近 いところへと発生している様子が見てとれます。ただし、宮城アイの活動は栗駒山の次のP2以後の時系列に関連するものと思われます。今後の監視が必要と思 われます。

 

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図11は、栗駒山の火山活動をみたものです。近傍の通常地震活動の時系列を見るとP1-P3まできれいに認められるようにみえます。

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