2009年8月12日
駿河湾でM6.5の地震

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2009 年8月11日駿河湾で地震発生、気象庁は当初M6.6とし後にM6.5と下方修正しました。おそらく6.5の中でも大きめ地震なのでしょう。そのせいも あってか、かなりの被害が出ました。図1は、昨2008年に出版された拙著の図32のコピーです。図中のAとした所は東海地震の予想域に概略当たるところ です。問題は、Aの楕円内にある矢印の先端です。そこに地震のやや密集した場所があります。これは”サイスミック・アイ”すなわち”地震の目”ではないか と指摘したものです。

 

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拙著の中では、それが巨大地震の目に当たるかどうかの検討をしています。 ここで、目の大きさが発生する本震の規模の大きさに比例するという経験則があります。 ところが、目はそれほど大きくなく、巨大地震を起こすようなものに至っていないとしてペンディングにしたものです。今回ははからずもこの目の付近で、 M6.5の地震が発生しました。ということは、それはやはり巨大地震の目ではなかったと言うことになります。

しかし、今後の進展が気になるため、まずこの目の地震活動の解析から今回の地震の意義を明らかにすることを試みたいと思います。図2 は、国の予想東海地震の位置と、1960年から2009年2月現在までのM6.5以上の大地震の分布を示しています。すなわち木村方式にのっとると、東海 地震予想域はこの間大地震が起こっていないので第一種空白域の資格があり、大・巨大地震が発生しても良いところと言うことになります。発生しなくとも良い のですが。

 

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図3は、解析した結論的な図です。震源データは気象庁が公表したものです。この期間の駿河湾周辺のM6.5以上の地震を含む活動域をドーナツの輪とみなす と、円内に大地震を含まない空白域を認められ、地震の目として良いような以上地震活動域が目につきます。そのそばの空白部に今回の地震が起きました。

 

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図4は、気象庁のデータをSeis Viewで処理したものです。地震の目の中の通常地震活動の時系列を見てみました。ここでは、階段状に不連続的に地震活動が活発になっていく様子が示され ています。この立ち上がりを1979年とすると(図中の矢印)、それに30年を加えると、2009年が大地震発生年となります。今回は、きちっとその年に M6.5の地震が発生しています。

 

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図5は、海溝付近の地震と付近の火山活動との関係を示すグラフです。今回の地震と三宅島火山、浅間山火山そして御嶽山の噴火と地震との関係を見てみると、 過去の世界の地震と噴火との関係を示す曲線に高い相関をもってフィットします。すなわち、今回の地震活動は、単に突発的というのでなく、十分時間をかけて 準備された地震と言うことになります。

 

以上の諸データを見る今回の地震活動により、予想地震域の歪が大きく解消されたと思われます。したがって、予想東海地震域でM8 クラスの巨大地震発生があるかどうかと言う判断は次のようであろうと思われます。

すなわち、今回の地震を発生した場所より北か南に従来の予想域をずらし て、①それに相当するだけの地震空白域があるか、②あった場合、その中に地震の目が見出されるかによって判断するのがベターと思われます。しかし非力な私 の力では、そのような場所を見つけきれませんでした。

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