- 2012年4月7日
- 2007年9月12日スマトラ南部の地震(M8.4)について
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図1は2007年1月13日付けの本サイトで公開したものです。そこに?が付された場所で2007年のスマトラ地震(M8.4)が発生しました。今度の地震により、巨大地震発生の予測に関する貴重なキーが与えられたものと思われます。
図1は本年1月に本サイトで公開されたものです。2)の左欄の枠外の数字は、インドネシアの火山のカタログ番号を示しています。火山を、北西から南東に上から下に機械的に配列したものです。横方向には1980-2005年までの西暦年代を下欄に示してあります。枠内の色は火山噴火の強弱により活動の度合いを示してあります。赤色が一番活発なことを示しています。
火山活動と大地震との関係を見ると(図1)、1980年以降火山活動が活発な地域ではやがて大地震が発生していくという規則性が見て取れます。2004年(M9.0-9.4)、2005年(M8.7)にはそれがはっきりと現れ、図2のダイヤグラムで噴火と大地震との強い時空関係が示されています。
そのため、図1の2)で?を付けた地域は今後(2005年以降)大地震の発生の可能性があるところと言うことになります。その場所で今回大地震が発生したと言うことは意義が大きいと思われます。
図2には、2007 年スマトラ南部地震(M8.4)を空色の☆印で示しました。(1)は2005年のTalang火山噴火-地震の関係、(2)は、2006年Marapi火 山と地震の関係を示します。それぞれの噴火は火山の主活動期(P2)を示すと考えられます。 これが最小自乗法による近似曲線に乗るということは重要です。というのは、火山の主噴火後に大地震の発生年が、第3種空白域がわかれば、そこでの大地震発 生年が計算されることになるからです。
図3には、今回のスマトラ南部地震(大白星印がM8.4、小白星印がM7.8)の震央が示されています。プロットされている通常地震活動は、M≧5の地震です。震度100kmまで。ソフトは、東京大学地震予知情報センターのSeisViewを用いました。
さて、ここに” ドーナツアイ”とされているものは、すでにペルーや新潟で発生した大地震の前に現れた物と基本的にまったく同じ物です。その求め方は、省略させていただき ますが、関心のある方は、サイトをご覧下さい。ここでも、アイの近傍あるいは中といった方がよいかもしれませんが、そこで大地震が発生しました。というこ とは、アイが見つかれば、そこで大地震の発生の可能性があるということを示唆しているととらえなければならないということではないでしょうか。
図4は、アイ(地震核あるいはアスペリティ)内での通常地震活動を示したものです。図3と同じデータ、ソフトを 用いさせていただきました。縦軸は地震回数です。星印が今回の巨大地震です。
アイ(目)というのは、従来は地震活動のほとんどない所(第1種ー第2種空白域)ですが、このグラフでは本震の30年ほど前から活発化している様子が分かります。他域でもこれまでの検討結果によると、同じような傾向が見られます。
ここで、アイが現れると言うことは、地震活動が活発になる、すなわち空白域の中心部が割れ始めることを示しているととらえて良いような気がします。そして大地震が発生するのです。もしそうだとすると、アイが現われてから30年ほどで本震が発生するという時間軸が見えてくるような気がします。
ここで、将来割れる場所が設定されると 火山活動との関係から本震発生の時間が求まります。実はこの予想震央の推定が難しいのですが、仮にこの場合のアイの中心付近に設定してみます。すると予想 震央は、3°S、101°Eとなります。実際は、4.5°S、10.3°Eで発生したので、震央は予想より107 km南にずれます。また、大地震発生時間は、2006年Marapi、2005年Talang噴火を採用し、 予想震央からそれぞれの火山までの距離を出し 時空曲線から本震発生時間を求めると、2010±3年と出ます。震央の100 kmほどのずれは、同日発生した余震が予想震央のさらに北で発生している現状を見ると、実用の範囲とみても差し支えないのではないかと思われます。なんと いっても巨大地震ですので。
さて、図4でアイが1978 年頃現れ30年後というのは、2008年ということになります。火山活動から、2007-2013年となり、両者の一致は見逃せません。しかも、アイの法 則によれば、30年前にほぼ時間が求まります。そして火山活動との時空関係が認められるのも一般にこの頃からで、両者は物理的関係を示唆します。今回は、 たまたま1-2年前にも火山活動が警告を発していたことになります。