2014年11月24日
2014年11月22日に長野県北部でM6.7の大地震

2014年11月22日に長野県北部でM6.7の大地震が起こりました。

 

長野県には空白域が存在していたので、拙著でも複数冊にわたり取りあげており、以前から危惧をしていた場所の一つではありましたが、内陸型の地震は予測が難しいこともあり、発生時期を限定せずに警告程度にとどめておりました。今後、震源地で地震の目が出来ていたのかなどの分析を行い、皆様方にもご報告ができればと考えております。

 

以下は自著を一部引用したものです。2004年当時の見解であることをご了承ください。

 

 

——–引用ここから——–

2014_11_24

 

 

空白域の多い長野周辺

 

今回の巨大地震シリーズで来るかどうかはっきりしないものの、不気味なのは長野周辺の地震危機である。長野周辺は火山も多く、地震のストレスを貯めこみやすい地域である。過去にも、大きな地震が起きている。1847年にはマグニチュード7.4の善光寺地震が起きているし、1984年にはマグニチュード6.8の長野県西部地震も起きている。善光寺地震では火災もあって八千人ともいわれる死者が出たし、長野県西部地震では土石流などによって二十九人の死者が出ている。

 

そしていま、長野周辺は大きなストレスをため込んでいると見ていい。1983年には新潟焼山がP2とみられる噴火をし、同年に草津白根山が噴火している。さらに79年には白山と御岳山が噴火、82年には浅間山が噴火している。新しいところでは、95年に焼岳が噴火している。

 

これらの噴火に対応する地震があまりみられないだけに、ストレスはまだ開放されていないと思われるのだ。ただ、このストレスの開放が、今回、日本列島で起きている地震シリーズで起きるかどうかは微妙なのである。

 

この長野周辺には、地震の空白域が4つある。ひとつは、糸魚川から静岡にかけての構造線上にある長野県構造線空白域だ。さらにこの構造線の北には、新潟内陸空白域がある。ここに新潟県中越地震が起こった。また長野構造線空白域の西には、飛騨空白域もある。この両方はともに日本列島断層沿いにある。そして飛騨空白域の南には、岐阜断層帯空白域があり、都合4つの空白域が不気味に沈黙しているのである。

 

これら長野周辺地域も、過去に大きな地震を起こしてきた。1751年には、新潟内陸空白域でマグニチュード7.4、1858年には飛騨空白域でマグニチュード7.1の地震を起こしている。また、岐阜断層帯空白域の少し北では、1891年にマグニチュード8.0の巨大地震も起きている。

 

このようにこの地域は一世紀ごとに地震を起こしてきたが、その後、起こっていない。内部でエネルギーがたまっていることは、たしかだろう。ただ、今回の地震シリーズで来るほどたまっているかどうかは、はっきりしないのである。

 

とくに糸魚川-静岡構造線では、今までに地震がないことも、予測をむずかしくしている。これまで構造線では地震が起きないといわれてきたが、最近ではどうもそうではないという見方が強まっている。

 

またそれぞれがプレート境界にあるとはいえ、内陸型である。内陸型の地震のくり返し速度は、何百年、何千年に一度というものだから、エネルギーがたまっても持ちこたえてしまう可能性も捨てきれないのだ。

 

そうはいっても、すべての地域が何十年も無事にすぎるというのは、ありえないことだろう。すでに新潟焼山、草津白根山、浅間山、御岳山、白山など周辺の火山がふいていることを考えあわせても、危険地帯であることは明らかだ。あるいは、空白域に近いところで、プレートが割れてしまうこともないではない。

 

●今回のシリーズで地震が起きるかどうかは微妙

 

これから起こりうる地震を個別で見ていくなら、新潟内陸空白域の場合、単純計算では1998年前後と出た。

 

これは、1970年代の新潟焼山、草津白根山の噴火、80年代の浅間山の噴火から時空ダイアグラムで予想したものだ。

 

ここでは、2004年に新潟県中越地震が発生した。時期が遅れた問題については、「緊急チェック」を参照していただきたい。

 

また長野構造線空白域の場合、1995年前後と予想されていた。これは1979年に吹いた御岳山や白山との関連から予想したものだが、今回のシリーズでは地震は起きないのか?だが、この構造線の上で地震が起こっていないことも、気になるところだ。

 

また、阿寺断層の北方である飛騨空白域では、2011年前後が動く時期と計算される。1979年に噴火した御岳山、白山、95年に噴火した焼岳との関連で、起こるとすればかなり大きな地震となるだろう。

 

——–引用ここまで——–

 

引用文献
『緊急警告 これから注意すべき地震・噴火―阪神・新潟・三宅…を予測した方程式が示す危機』(木村政昭著、青春出版社、2004年刊)
P.171~176内を抜粋

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