上の第1図は、富士山の長期的活動を示しています。長い間活動する期間と休む期間があり、現在はその休止期に当たります。ところが図1をよく見ると、その期間がどうも駿河湾からのびる南海トラフと呼ばれるプレート境界で発生する巨大地震に区切られているようにみえます。

 巨大地震とは東海地震や南海地震です。これには相模湾の巨大地震も荷担しているようです(図1)。

 そこで表1を見てみます。これは富士山の活動期の噴火年数です。






 活動期内の噴火から次の噴火までの年数を調べてみました。13例ありますが、最小と最大を示す年数を除いて平均値を求めると、30年ほどとなります。活動期中には、およそ30年間隔で噴火をしてきたことがわかります。活動期内では、次の30年後にも噴火があるかもしれないと考えなければなりません。しかし、休止期中にはこれは通じません。 

 すると、図1が役に立ちます。それによると、巨大地震の関係からそろそろ富士山の活動期になっても良い時期と言うことが見てとれるからです。もう活動期になっても良いというこの時期に、富士山に”噴火の目”が現れたことは8月17日のブログで指摘しました。

  図2は、その中身です。これは地震の目とそっくりです。地震の場合は目が現れたら30年を加えると本震の発生時期と想定できます。本火山の場合は、それにさらに5年加えると現実の噴火時期と一致するだろうと考察しました。これは噴火口下の微小地震活動の時差から算出したものです。この5年加えるところが大地震予測の違いです。




 図2によると、目の立ち上がりが1976年ですから、それに30年加えてさらに5年加えて誤差を考慮すると、噴火は2011±4年と試算されます。ただし、大地震の例は比較的多く、30年という値はかなり信憑性があると思われますが、噴火ではどうでしょうか。どうも火山によって違いがありそうです。これは、マグマという液体や熱の影響により個性ができてくるようです。

 今回の富士山については、図2にもその傾向が出始めているのですが、M0.5以上の地震を含めた図2と同様のグラフを見ると(前出のブログ)、微小地震の回数が数年前から上昇傾向にあることから、マグマが上がってきているのではないかとの推測は否定できません。

 



 それを反映してか、図4に示すように、富士山の目の活動は、1983年以降富士火口へ移動しているようです。大地震のプレ・スリップのようです。図4では、1983年から13年で1996年地震へ活動が移動しました。次も13年かかるとすると2009年に地震が発生という計算になります。これに火口までの時差5年を加え誤差を考慮すると、噴火は2014年±4年となります。1976年の目の立ち上がりから計算した2011±4年と誤差の範囲で一致します。

 ただし以上の試算は、目ができれば火山が噴火という意味で活性化しているという仮定に基づいた試算です。可能性の一つとみてもらえればありがたく思います。防災の心がけと共に、今後の富士山及び周辺の観測等を見守りたく思います。